第43話
「日本びいき」

キャス高校に移って初めての成績表が出た。なんと見事にオールAで、しかも11年生(高校2年)297人中8番だった!こんなスゴイ成績を取ったのは生まれて初めてで、僕は大興奮した。まぁ、日本に比べてアメリカの(公立学校の)教育レベルが低いからであるが・・・。数学など、日本の中学校でやったことを今またやっているのだから、いい点数をとらない方がおかしい。それでも、フランス語やタイピング、英語の授業などは他のアメリカ人と同等、しかも僕には言葉のハンディがあるわけだから、頑張ったと言えるだろう!

ベリンダの元には、PIEから来年度の留学生の資料が届いていた。その中に日本人が2人いた。ベリンダは物凄く興奮し、2人のうち1人を近くの家にホームステイさせることが決まったので、「やったー!」と喜んでいた。いつの間にか親日家になっていて、「来年、あなたの家に遊びに行くわ。2週間行くからよろしくね!」とことあるごとに言っていた。また、職場に日本人がいるそうで、彼に僕のことをよく話し、日本のことも色々と教えられているらしい。「山形」の発音の仕方を習ったとかで、嬉しそうに「ヤマガタ」と発音していた。山形のことについても少し聞いたらしく、彼に「いいところだから、好きになるだろう!」と言われたと言っていた。

この頃、ベリンダは本格的に日本人留学生の受け入れを考え始めていた。僕の日本の高校からは毎年2人、コロラドのデンバーに留学しており、ホームステイ代として月々お金を支払っていた。通常、アメリカでのホームステイはボランティアなので、その話を聞きつけたベリンダは興味津々となり、マギー宅に電話したり、僕の高校に電話して、毎年自分の家に留学生を送ってくれるように出来ないか交渉していた。しかも有料で。ビジネスにしようとしていたらしい。

結局、この話は先に進まなかったし、ベリンダたちが日本に来ることも実現していない。2年後、日本人留学生を再度受け入れてトラブルになったことは既に書いた通りだ(第22話参照)。

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