2005年6月27日(月) Vol. 1

<2分前に飛び起きる!>
午前中はダイビングだ。ダイビング・ショップの人が、8時15分にホテルまで迎えに来てくれることになっている。昨日の夜スーパーで買った朝食を食べたり、のんびりする時間を考えて、7時半に目覚ましをセットしていた。ところが。
「もう8時13分だけど」
友人Aの声が聞こえた。見ればAもまだベッドの中にいる。迎えに来るのは8時15分。そして今は8時13分。昨日の二の舞ではないの!!! 慌てて飛び起き、身支度をする。カーテンを開けるとAが子供のように「んー!んー!」とうなりながら、外を指差す。何かと思って見ると、大雨だ。スコール。それがサイパンの気候の特徴で、突然ザァーっと雨が降り、しばらくするとピタッと止む。なだめていると、案の定電話が鳴る。10分遅れでロビーに行く。

「サイパンに行く」と言うと、「南国のイメージがない」とよく言われた。そして「ダイビングをやる」と言うと、「アウトドア派だったっけ?」「えっ、ダイビング?!出来るの?」と驚かれる。確かに僕はインドア派。スポーツ音痴である。しかし、元水泳部。そして、海育ち。実は、先天的な海好きなのだ。



<浅瀬で溺れる?!>
グランド・ホテルの側にあるダイビング・ショップに着くと、お客さんらしき男性2人(日本人)がインストラクター(日本人)2人と談笑していた。その人たちの横に座ると、若いインストラクターが挨拶をしてきた。
「今日はサイパンの海を思い切り楽しみましょう」
申し込み用紙にあれこれ記入をし、ウェットスーツを選んだりした後、Aとはしばしのお別れだ。僕はライセンスを持っていないので体験ダイビングなのだが、Aはライセンスを持っているので、ファン・ダイビングに出掛けて行った。着替えて、元の場所に戻ると、先程いた男性2人もいなくなっていた。聞けば、体験ダイビングをするのは僕一人だという。本で、10人程度のグループになってする、と読んでいたので、まさか一人になるとは思いもよらなかった。インストラクターとマンツーマンだと言う。しかし考えてみれば、マンツーマンというのはすこぶるラッキーである。

シュノーケルやマスクなどの使い方を一通り学んだ後、海の浅瀬でひとまず練習。潜っていてる最中に、シュノーケルが口から外れた場合、マスクの中に水が入ってしまった場合など、パニックにならないように浅瀬でわざと水を入れたりして練習をするのだ。それが全部終わってから、インストラクターが僕の足にフィン(潜水用の足ひれ)を着けてくれたのだが、フィンを初めて着けた僕はうまく立てず、腰より少し上くらいの浅瀬にも関わらず、なんと溺れそうになってしまった! なんてマヌケ。
「こんな浅瀬なのに溺れそうになっちゃいました。ハハハ」
元水泳部のプライドをかなぐり捨て、笑ってごまかすと、
「これ(シュノーケル)があるから溺れませんよ」
若いインストラクター君にあっさり交わされた。



<マンツーマンの体験ダイビング>
さていよいよダイビングである。以前ハワイに行った時、シーウォークをやったのだが、ほんの数分歩いただけで物足りない思いをしたので、今度こそダイビングをやるぞ!と決めていたのである。やはりそのシーウォークとは全然違う! 陸の上での生活があり、そしてこの海の中での世界(生活)も存在しているのだ。泳いでいる魚に餌付けをすると、恐ろしいくらいに集まってくる。その中でも、サヨリがわんさか。小さい頃、祖父母宅近くの港でサヨリを見かけたものだ。くちばしが長くていささかコワイ。そう思っていたら、巨大サヨリも登場し、ビビッてしまった(大袈裟)。インストラクターが磁石製のホワイトボードで、あれこれと説明してくれる。サイパンの海はナマコが多い。実際に見るのは20年ぶりくらいかも知れない。
「マッサージすると硬くなりますよ」
とメッセージが出たので、恐る恐る触ってみた。やり方が充分でなかったようで、インストラクターがグイグイとマッサージをすると、本当にカッチンカッチンになった。イヤラシイ・・・(失礼!)。するとインストラクターは僕の方にポンと投げたのだが、その時に白いものが見えて、またもや僕はビビり、思わず声を上げそうになった。ホワイトボードでの説明によると、カニにいたずらされて切れてしまったようだった。あああぁぁぁ、ビックリした。

とまぁ、ここまで書くと、潜っている間中、僕はビビリっぱなしだったように思われるかも知れないが、ビビッたのは以上の2つだけである(ホントです)。海の神秘をこの目で見ながら、ダイビングを楽しんでいた。マンツーマンなので人がうじゃうじゃいるわけでもなく、説明も丁寧だし、色々とその都度教えてくれるので、本当にラッキーだと思った。
「上を見ると、魚が空を飛んでるみたいですね」
というメッセージを見た時、確かに泳いでいる魚を見上げるなんて、陸の上では絶対に有り得ないことだと思った。

15〜20分くらい経ったかなと思っている頃、インストラクターが上に行く合図をよこしてきた。何か緊急に伝えたいことでもあるのだろうか、などと思っていたら、なんともう終了らしい。ええっ!?もう終わり?! 聞けば、既に40分も潜っていたそうである。ビックラこいた。物足りない思い一杯。これでサイパン滞在のハイライトが終わってしまった。



<急遽2本目のダイビング>
インストラクターが「もう1本潜ります?」と訊いてきた。友人Aは2本潜るので、戻って来るのはまだまだ先だ。一人でボーッと待っているのもつまらない。追加料金は45ドルだそうだ。決して安くはないが、せっかくサイパンに来ているのにケチるのはつまらない。しかも、物足りないと思った矢先である。せっかくの機会なのだからと思い、もう1本潜ることにした。トイレに行き、しばし休憩、コーヒーを飲みながらインストラクターと談笑した後、今度は足漕ぎボートで15分くらい掛けて、1本目よりも深いところまで行った。そして再びのダイブ。先程とは違う魚が沢山いた。きっとまた早く時間が過ぎるんだろうなぁ〜・・・と思いつつ、思い切り海の神秘を楽しむ。案の定、20分くらい経ったかなと思った頃、上にあがる合図があった。40分は経っていたそうだ。早すぎる!!! 海の中の時間の流れは地上よりも早いのではないかと思うくらいだ。来た時と同じように、またインストラクターと2人で足漕ぎボートで陸に戻った。ボートを漕いでいる間、インストラクターと談笑していたのに、僕は突然尿意をもよおし、もういてもたってもいられなくなってしまった。今にでも漏れそうな勢い!!! さっき行ったばかりなのに・・・。顔がこわばり、もう話すこともままならず、貝のように口を閉ざした。陸に着いたら、もう一目散にトイレに駆け込んだ。

<心の誓い>
あっという間に2本のダイビング終了。2本潜ったので、そばにあるグランド・ホテルでのランチ付きとのこと。なんてお得。シャワーを浴び、ロッカーに向かったところで、Aが戻ってきた。まだ僕が水着姿でいることにびっくりしている様子。まさか2本も潜るとは思っていなかったようだ。体験ダイビングでマンツーマンというのは“贅沢”で“超ラッキー”だね、と言われた。なるほど。

Aとインストラクターと3人でグランド・ホテルのテラスでランチ。チキンステーキだった。1時間半ほどのんびり会話をし、写真を撮り、ショップの車でホテルに戻った。嗚呼、本当に楽しかった。予想以上にハマってしまった。ライセンスを取らない限りは一生体験ダイビングなのだそう。次は絶対にライセンスを取ろうと心に誓ったのであった。

 
親切なインストラクター、宮崎さんと なぜか友人Aも・・・


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