2006年7月12日(水)

僕とアユミの共通の友人Mは大学の同級生で、今は結婚してベルギーの首都ブリュッセルに住んでいる。本当は僕がパリに到着する日に、彼女もパリに来てくれるはずだったのだが、事情により来られなくなってしまったので、ならば思い切ってブリュッセルに行こう!ということになった。パリから電車で1時間半で着くので、意外と近い。パリに着いた初日、Pからも「ブリュッセル行ってくればいいじゃん、1時間半で行けるんだよ」とアドバイスされていたのだが、「でも一人旅なんてしたら、孤独で自殺しちゃうかも」などと僕にしては珍しくマイナス思考発言をしたら、Pは顔色も変えず、あっさりと言いのけた。
「な〜に言ってんだか。大丈夫大丈夫。あなた、そんなに繊細じゃないから」
・・・。・・・。・・・。僕はいつもPに対して「あなたの神経は鉄のように太くて固い」と言っているので、隙あればドカンとやって来る。それにしても、ヨーロッパに来て会う日本人が全て女友達というのも、出身大学(外国語大学)の女性比率というものがお分かり頂けるだろう。

僕の友人サトルは、フランスで勉強を続けていたのだが、偶然にも僕がパリに着いた日に久しぶりにメールがきていて、なんと今はブリュッセルにいるというではないか!ならば、会おう!とメールをしたのだが、日程が合わず、彼とは再会が出来なかった。

さて、朝9時50分発のタリスにていざブリュッセルへ!

パリの北駅 売店
切符売り場 タリス

Mとは夕方4時に落ち合うことになっていたので、僕とアユミはまず中央駅付近のレストランでランチ。観光客向けのレストランしか見当たらなかったので、どこに入っても同じなのだが、呼び込みをしつこくしてくるような店にはゼッタイに入らない主義である。「チョットマッテ!チョットマッテ!」とカタコトの日本語を駆使して巧みに呼び込もうとする店を素っ気無く振り切って、商売する気があるんだかないんだか分からないくらいに呼び込みしない向かいのレストランに入った。が、やはり高いクセにマズイ。ブーブー言いながらも、これまた長居をして、その後観光バスに乗ってみた。フランスの隣の国だというのに、随分と雰囲気が違う。古い建物は灰色ですすけていて、新しい建物が割り込んでいる。フランスに比べてちぐはぐな印象を受けた。
「なんだろう・・・この街は?!」


ベルギー名物・小便小僧は有名だが、これは小便小娘

4時にMと会う。2年ぶりの、感動的な再会!!!広場に面しているカフェに落ち着き、喋りまくる。飲み物は勿論ビール。ベルギーに来たらやはりビールでしょう!その後、店を移して、別のビールを堪能。大学入学時からの友達なので、気心も知れ、よく喋る。僕はまた例によって、「パリでは虐げられておりまして・・・気も遣って・・・疲れております」と発言をしたところ、今度はアユミが反撃に出た。
「あら、じゃあ帰らなくてもいいのよ」
「どこに?」
「(パリの)家に!」
「帰りませんっ!Pん家に行くから!」
「じゃあ荷物は全部Pの家に送っておくから」
「そうして下さい。でもその頃にはロンドンに行ってる・・・」
こんな会話は序の口で、しょっちゅう僕とアユミの言い合いは延々と続き、よくMは笑っている。
「フフフ・・・パリでもこんな感じなの?」
「もうしつこいから!」
「そっちの方がしつこいじゃん!」
「よく言う!その(顔に付いてる)ホクロに聞いてみたら?」
「ホント、理屈っぽい人ってヤだねぇ〜」
「アナタほど理屈っぽい人なんていないよ」
「そっちじゃん!そちらのしつこさと理屈と口のウマさには敵わないもん!」
「ビックリ!何を言ってんの?」
・・・僕とアユミのこんな言い合いは果てしない。当然の如く、周囲は黙っているしかない(実際は笑っている)。しかしある時、意見がピッタリ合って終幕を迎えたことがある。アユミの旦那フレドに、
「私とコウとどっちがしつこいと思う?」
と助け舟を出した。するとフレドは「う〜ん・・・Pに聞いてみたら?」と言った。そこで僕とアユミは、
「あ〜!Pに訊いてもムダムダ!どっちにもいい顔する調子王だから!」
と意見がぴったり合い、言い合いが無事に終わった・・・という稀なケース。後にも先にもない。

ベルギービールは、銘柄によってグラスも変わる

7時半になって、Mの旦那Jと合流。僕とは初対面。話に聞いていた通り、本当に素晴らしい人だ。

Jの運転で、ブリュッセルをドライブ。まずは、娼婦街。アムステルダムのように、窓越しに娼婦が水着姿で立っており、気に入った女の前で男は指で値段交渉をする。カーテンが下りていれば、「お取り込み中」。日本では絶対にお目にかかれないこの異様な界隈を写真に収めたいと思ったのだが、コワイのでやめておいた。

その後は、アフリカ街へ。やはり、こういう観光地化されていないところは興味深い。

車の中から見るブリュッセルの街。先程の観光バスから見た印象とは随分と変わった。結構いい街じゃないか〜!!!やはり地元に知り合いがいるというのは、本当にいいものだ。たったの数時間で街に対するイメージが変わった。

M夫妻の家は本当に素敵で、幸せな空間を感じた。どこを見ても幸せ。Mは本当にいい顔をしている。前からよく笑う人ではあったが、更に笑顔が増し、もっとよく笑うようになった。ああ、本当にブリュッセルに来て良かった、と思った。幸せを随分と分けてもらった気がする。感激だった。

家の窓から見える風景

元々家でムール貝をご馳走してくれるとのことだったので、何も食べずに家に着いたのは既に9時過ぎ。食べ始めたのは10時半!まぁ、それも楽しいではないか!でもって食べ終わったのは、夜中の1時前。スゴイ時間だ。ベルギー名物のムール貝を本当に楽しみにしていて、夢中になって食べまくった。すっごく美味しくて、食べ終わりたくないというのに、腹が受け付けない。まだ残っているというのに!Mはあらかじめ3本のワインを買ってくれていたのだが、僕は極度の疲れであまり飲めなかった。結局、ワインは2本しか開けなかったのだ。


幸せのムール貝

結婚式のビデオを見せてくれた。僕は参加出来なかったのだが、教会で僕の「幸せの陽射し」が流れたので、そのシーンを観ることが出来て嬉しかった。しかし睡魔には勝てず、僕は一足お先に深い眠りに入った。


パリ滞在5日目へ

出発 いるはずの僕がいない?!
パリ 1日目 無理をすれば大丈夫!
パリ 2日目 心の底から楽しく
パリ 3日目 ずっとパリにいるような…
パリ 4日目 ブリュッセルへ
パリ 5日目 バルビゾンで昼食を
パリ 6日目 パリ祭
ロンドン 最高の締め括り
帰国 オーバーブッキング
■写真集 「パリの街角」■