マルセイユ/エクス・アン・プロヴァンス/アルル


<7年ぶりのフランス、11年ぶりの南仏!>
はじまりは、味噌汁からだった。ちょうど1年前、鶴岡に帰省していた時、庄内で言うところの笑貝(イガイ)入りの味噌汁が食卓に出た。イガイとは、いわゆるムール貝のこと。ムール貝といえば、カンヌやニースで食べた、白ワインで蒸した沢山のムール貝(付け合わせにフライドポテト)が忘れられない。まぁ、実際のところはベルギーの名物であって、ベルギーに行った時にも食べたし、その後パリでも「レオン」というムール貝の専門店でも食べたのだが。とはいえ、僕の頭の中では、あのボウルにたっぷり入った白ワイン蒸しのムール貝を初めて食べたのは南仏ということで、イメージとしては南仏なのだ。その話を父にしたところ、「じゃあ、南仏に行くか!」というハナシになったというわけだ。実は、南仏におけるムール貝がまだシーズンではない、ということを僕は知らなかったのだが。

こういうやつ↓
ちなみにこれは、ベルギーに住む友人宅に遊びに行き、作ってくれた4人分のムール貝

きっかけはどうであれ、僕にとってフランスは特別な国であり(大学の専攻がフランス語学で、3年生の時に1年間、フランス中東部ブザンソンにロータリー奨学生として留学もしている)、更には、大学1年の春休みに語学研修で1ヶ月間滞在したのがカンヌだったし、南仏には合計3回旅していることもあり、この大好きな地に、一度両親を連れて行きたいと、密かに思っていたのだ。その願いがついに叶うのである!父は10年ぶり3度目の海外、母は9年ぶり4度目の海外旅行で、フランスは2人共2度目になる(前回は14年前、僕がフランス留学時に、パリ観光に親戚一同でやって来た)。

ツアー探しが始まる。何人かの友人知人に以前聞いていたのは、「南仏にツアーで行こうとしても、“南仏だけ”というプランがない。必ずパリが付いている。でもパリは一度行ってるから、パリなしのがいい。でもそういうツアーはない」ということ。インターネットで検索してみると、確かに、パリは必ず付いているし、パリどころかモンサンミシェルが付いているものも数多くあるし、それどころか、パリ・モンサンミシェル・ボルドー・リヨン・南仏、という、スゴイ旅もある(移動で疲れ果てること必至)。南仏だけ、というツアーは確かにあまり見つからない。あまり見つからないのだが、あるのだ。幾つか見つけた中から、信頼できる旅行会社で、しかも見所を押さえているツアーを選んだ。

元来僕はあまりパックツアーが好きではないし、海外に行く時は毎度個人旅行だ。でも、60を過ぎた両親にしてみれば、移動も楽でガイドも付くツアーの方が断然いい。僕にとってフランスは特別な国であり、外国の中では断然一番長く滞在した国でもあり、大学卒業後はさっぱり鍛錬しなかったゆえに錆びついてしまったとはいえフランス語を専攻した身としては、パックツアーで世話されながらフランスを旅する、というのはどことなくスッキリしない。とはいえ、今回は両親が楽しんでくれればいいのだ(といっても僕がお金を出してあげたわけではないが)。僕は既に南仏には何度も行っている、が、しかし、よくよく考えたらガイド付きで観光したことは一度もない。初めてガイドによる解説を聞きながら旅するのもいいかも知れない。地図や時刻表と睨めっこする必要もない。観光客向けじゃない、地元の人たちが行くような美味しいレストランを求めに求め、歩き回る必要も調べる必要もない。・・・と、自分を納得させてみるも、それでもやはり、知らない人たちと毎日団体行動をするツアーで本当に楽しめるだろうか?!ヘンな人が参加していたらどうしよう?!せっかくフランスに行くのに、ほとんどフランス語を話す機会がなかったらつまらない・・・などと、直前になって気を揉んだりもしたのだが、そーんなコトは、取るに足らない鼻くそほどのちっちゃいコトで、ただの杞憂に終わったのである!




<到着前の醍醐味>
2013年5月29日(水)

旅に出てしまえばあっという間に終わってしまうので、僕は旅に出る前夜と出発の朝が一番好きだ。あのドキドキ感と高揚感はなんとも言えない。だから、よく冗談で「成田までの道中が旅のハイライト。成田に着いたらもう旅は終わり」などと言っては白い目で見られている。大袈裟な表現だが、少し本気。早朝に家を出て、新宿から成田エクスプレスに乗る。空港での手続きを済ませると、そんなに時間に余裕はないのだが、今回のツアーには成田空港のラウンジ利用券も付いていたので、せっかくなので利用する。ああ!もう少し時間があれば!

フライトは午前11時55分発のパリ行きエールフランス便。これまで何度も渡仏しているのに、日本からエールフランスの直行便で行ったことはなく(いつも乗り継ぎ便だった)、やっとこさ初めての直行便、しかもエールフランス!エールフランス・・・だからといって、特別なことはないのだが、客室乗務員がフランス人だから(日本人もいるが)、ここからフランス人相手にフランス語を実践できるという点では興奮度が増す。しかも、食前酒にはシャンパン!(以前、別の航空会社の飛行機に乗った時は、シャンパンは有料だと言われたような気がする) 僕は飛行機の中だろうがどこだろうが、たとえ工事現場だろうが騒音には悩まされずに眠れる性質だが、今回は両親とフランスに行くという興奮も相まって、ほんの少ししか寝なかった。

現地時間午後5時15分にパリ着。マルセイユ行きの便まで、なんと4時間半待ち。機内でワインを飲んで気持ち悪くなった母を横目に、僕はたまたま携帯でチェックした仕事のメールで、良くない知らせを受け取ったことでテンションがた落ち。こんな時に見るんじゃなかった・・・と後悔しても遅い。いずれは目にするメールだ。本来ならば、逐一Facebookに写真をアップしていこうと思っていたのだが、その仕事メールにより、数日間Facebookにアップする気にはなれなかった(実際帰国後に確認したところ、あれこれ情報が錯綜していたことにより、実はさほどの大問題にはなっておらず、なんだかんだで逆にマイナスがプラスになっていたことを知り、ある意味、“なんだよ〜!!”と、あの時のタイミングの悪さを呪った)。でも、気を取り直して!夜11時10分にマルセイユ着。いよいよ、いよいよ旅が始まったのだ!


<マルセイユ>
2013年5月30日(木)

マルセイユの空港からすぐのところにあるホテルは、近代的で清潔で居心地が良かった。今回の旅では3つのホテルに泊まったのだが、このマルセイユのホテルが一番良かっただけに、たったの1泊というのは勿体なかったなぁ。朝食もそこそこ美味しかった。今回はツアーなので、自らフランス語を使おうとしない限りは、フランス語を話すチャンスもないと思っていたので、とにかく積極的に現地人に話しかけることを決めていた。たとえ、自分が知っていることでも知らないフリして質問するくらいの意気込みだった!なので、朝食の時から、フランス語実践!!

朝食の後は、いよいよバスに乗り、マルセイユの旧港散策へ。


マルセイユといえば、危険なイメージがあった。14年前に行った時も、駅前あたりや旧港の界隈は物騒な感じだったのだが、最近はそれほどでもないのだとか?!まぁ、ツアーなのでじっくりゆっくり滞在することなく、次の目的地、エクス・アン・プロヴァンスへ。

<エクス・アン・プロヴァンス>
14年前に訪れた時は、このエクス・アン・プロヴァンスの町のあまりの美しさに、僕は留学先をブザンソンの大学ではなくこの町の大学にすべきだった!と本気で後悔したくらい、好きになった町だ。ゆえに、今回の再訪を楽しみにしていたのだが、やはりそこはツアー。じっくり町を見尽くすことはない。ちょちょいのチョイの観光では、僕がいかに「この町に留学したいと激しく後悔したほど、いい町なのだ!!」と力説したところで、両親の頭上にはハテナマークが躍るばかりである。

かつてセザンヌがアトリエとして利用していたところ

市場

昼食はブイヤベース。美味しいけれど前菜だけでお腹一杯になるくらいの量!

<アルル>
エクスでランチの際、自己紹介タイムがあった。ご夫婦での参加が一番多く、あとは仲良し4人グループ、そして我ら親子3人、合計19名。このランチで横に座った方が、藤沢周平の大ファンということで、鶴岡に2度も来られたというお話を伺い、我らは大興奮!

昼食後は、アルルへ移動。南仏の旅は移動距離が長くない。せいぜい1時間ほどである。今回の旅で一番長かったのは、確かアルル〜アンティーブまでの3時間ほど。パリ観光を含まない南仏のみのツアーゆえに、実はゆったりプランの旅なのである。さて、エクスから現地在住の日本人ガイドさんが付いてくれている(日によって変わる)。この最初に付いてくれたガイドさんが、大ベテランでとってもお話が面白い。歩いている時に、「ああ・・・今、あっちから来る4人組に気をつけて下さいね、スリですから!観光客のフリして紛れ込んできますよ。・・・この子たち、スリです!」と、マイクを通して言って来るのが可笑しい(今時のツアーは、ガイドは小さいマイクを使い、客はイヤホンでガイドを聞くのだ)。

それにしても、先週は暴風雨で大変な天気だったそうだ。今年は例年より寒いものの、それでも今週はこんなに晴れてなんともラッキー!これが雨と晴れでは全然印象が違いますからね。南仏で雨に降られちゃ、イヤですよ。

何気ない街角が好きです

古代円形競技場


この地方独特の人形。手作りのため、なんと価格はウン十万円!

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INDEX
1〜2日目 マルセイユ/エクス/アルル
3日目 プロヴァンスの古都めぐり
4日目 コートダジュールの魅力めぐり
5日目 ニース/モナコ/エズ
6日目 カンヌ/モナコ再訪
7〜8日目 ニース〜帰国