第37話
「楽しいだけの時間」

デンバーに来て4日目の12月28日(水)。ニューヨーク州の田舎村に留学している同級生ノブコがデンバーに到着することになっていた。僕たちは空港まで迎えに行った。この留学中に、日本の同級生たちとコロラドで再会出来るなんて本当に嬉しいことだった。

ノブコが着いてから、僕たちは買い物に出かけた。僕は腕時計を買った。夏にデンバーで買った時計が(安物だったのだが)、恐ろしいくらいに進むのが早くなっていたのだ。平気で1時間も2時間も先に進んでしまうような恐ろしい時計だった。ネジが沢山付いていたからだろうか?!

夜は、ちょっとしたアミューズメント・パークのようなメキシコ料理レストラン「カサボニータ」に行こうということになり、バスを待っていたのだが、僕たちの会話(日本語)を聞きながら、そばにいた見知らぬオバサンがゲラゲラと笑い出し、僕たちは恐怖におののいた。カサボニータには、夏も来ていたので、これまた懐かしいと思った。チキンを食べ大満足し、店内で買い物をし、似顔絵も描いて貰った。ビルの姪っ子、ニッキーに迎えに来て貰い、皆で映画を観に行った。最終回(レイトショー)は1ドル50セントで観られるのだ。ウソのような料金だ。ケビン・コスナーの「The War」(後に「8月のメモワール」というタイトルで日本でも公開された)を観たのだが、あまりにも重苦しい映画で、息が詰まりそうだった。

この日はビル宅に、カナコもノブコも泊まった。明日はベリンダたちと合流してスキーをすることになっていたのだが、僕はあまり気が進まず、憂鬱だった。スキーになんて行きたくないと思った。

翌朝、ビルからベリンダが電話してきたことを告げられた。どうやら、ベリンダは昨日のうちに僕から電話すると思ったらしく、連絡が取れなかった為、結局、今日のスキーは中止になり、翌日に持ち越された。よって、この日はのんびりと過ごすことが出来た。ローゲン、テナー、犬のセイディと遊んでから、JC Penny(デパート)へ。その後、デンバーのダウンタウン(中心街)にある、日本食料品店「サクラ・スクエア」に行った。この店には、本やビデオも置いてあり、僕たちはそれぞれ、「笑っていいとも!」や「とんねるずのみなさんのおかげです」などのビデオを買い(確か1本のビデオに2番組くらい収録されて5ドル程だったと思う)、女性週刊誌を買い、帰りのバスの中で、僕たち3人はそれぞれが週刊誌を黙って読み耽った。日本ではあり得ない光景に、思わず笑ってしまった。

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