北欧・夢紀行
〜ストックホルム Vol. 2〜

1999年8月1日(日)。初めて迎える北欧の清々しい朝。S、U、そしてSのお父さんとで近くの町まで行き、海を見る。何となく、海というよりも、先入観からなのか“湖”に見える。海の近くの店でホットドッグを買う。注文している間、僕は何か、鼻に違和感を覚えた。ふと手を当ててみると、なんと血・・・。鼻血が出ていたのだ! 北欧にやってきて、あまりの美しさに興奮し、鼻血が出たのだと僕は本気で思っている。

昼はご近所のお宅でガーデン・パーティーに参加させてもらった。そのお宅の奥様はイギリス人だった。スウェーデン人男性の元に嫁いで来たのだ。近くの住人達がどんどん集まってくる。ちょっと年齢層は高めだが、若い人達も何人かいた。皆さん一人残らず僕に対してとても親切で、ご年配の男性は、1960年代に日本に行ったことがある、と話してくれた。ここでも、皆さん英語が達者であった。夏の太陽の下で、お茶を飲みながらゆっくりと過ごす日曜の午後。とても平和だ。途中、誰かがペタンクをやりだした。ペタンクとは、ゲートボールをもう少しハードにしたような遊びだが、これはフランスの国民的スポーツのはず。特に南仏に行くと、ペタンクをしているおじいさんおばあさんをよく見かける。ここスウェーデンにも伝わってきたのだろうか。

北欧にやってきていきなり僕の求める風景に出合い、そして思いがけず、沢山のスウェーデン人と触れ合うことも出来た。感謝で一杯だった。僕とSは、夕方電車でストックホルムに戻った。田舎から都会へ。と言っても、ガッカリということではない。ストックホルムという都会は、透明感に溢れていて、その街にいるだけで、何だか心まで澄んでくるようである。散歩をしながら、「こんなに美しい都会は見たことない」と思った。

海の側にあるレストランで夕食を摂った。フライ魚とキャビア。だが食べ盛り(?)の僕には足りず、シーフードのサンドイッチも注文。その後は、カフェに行った。観光客が全くいない、地元のスウェーデン人ばかりのカフェだ。僕が“観光客向け”の店に興味がないことをSはよく知っているようだし、S自身もそういう店には行きたくないようだった。地元に友がいる醍醐味だ。道に迷うこともなく、ただついて行くだけで僕が求めているような店に辿り着く。

ストックホルムは完全な白夜とまではいかないが、10時くらいまでは明るかった(ような気がする・・・曖昧な記憶)。旧市街ガムラスタンのアパートから見下ろす街並みは、都会なのに落ち着いていて、更に中世の香りを残している雰囲気も手伝って、不思議な気分にさせられた。この街に住んでみたい・・・と強く思った。

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異国にて…

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