第13話
まったく、もう…

10月8日(木)。家には洗濯機がないので、コインランドリーに行った。高いのなんのって・・・。1回につき千円を超す。乾燥機が10分で5フラン(約120円)もする。10分で乾くか!かといって、家には干すところがない。毎回毎回、この街中のコインランドリーを使うのは考えものだ。対策を練らねば!

電話局と銀行に行って書類を提出。またしても銀行の対応の悪さ(感じの悪さ、とも言う)に腹が立つ。2ヶ月後にまた行かなくてはならない。電話は明日取り付けることになった。フランス・テレコム(フランスの電話局)よ・・・やれば出来るではないか・・・散々あの時「出来ない」と言い張っていたクセに・・・。喜びも束の間、ふと不安になる。ここはフランスだ。約束時間などあってないようなもの。しかも、取り付け工事をしたからといって、本当に明日から通話可能になるのだろうか?!(フランスではこのくらいの猜疑心があった方が、後で落胆せずに済む)

この家で生活するにあたっての面倒な手続きは、全部僕がやっている。全て終わった頃、アメリカ人学生がのほほんとやって来る。それを思うと、ちょっと腹が立つ。ついこの間、2つの寝室の広い方を選んだことに対して、少しばかりの罪悪感があったのに、そんなものはすっかり消え失せていた。

昼過ぎに学校に行くもインターネットが出来ず。5時頃行くと満席。空くのを待ち、やっとの思いで順番が回ってきたかと思いきや、隣のアメリカ人学生が、コンピューター室の担当者(勿論フランス人)に英語で話しかけているので、気分が悪くなる。フランス語を学びに来てるんだから、フランス語で話せ!と言いたくなる。同じ英語圏でも、アメリカ人は概して、誰にでも遠慮なく英語を通す人が多い。そこかしこで米語が飛び交っている。どうもこの学校は、アメリカ人の比率がすこぶる多いようだ。

10月9日(金)。やっと電話が繋がった!飛び上がらんばかりに嬉しい。しかも、問題なく通話が出来る。おフランスも捨てたもんじゃない。早速、日本の家族に電話をする。その後、パリの日本大使館に電話をし、在留届(フランスに3ヶ月以上の滞在の場合は提出の義務がある)の申請をしようとすると、ブザンソンの管轄はストラスブールということで、在ストラスブール日本国総領事館の電話番号を告げられる。かけると、すこぶる聞き取りにくい声のおじさんが出た。日本人と、日本語を話しているのに、外国語を話しているかのように聞き取りづらく、全神経を電話に集中させた。書類を領事館に送るように言われ、住所を読み上げられたのだが、いちいち英語に訳すおじさん。「在ストラスブール日本国総領事館」をフランス語にすると、“Consulat General du Japon a Strasbourg”になるが、最後の“a Strasbourg”のところで、
「英語で言うと、a は at ですね」
と、ここぞとばかりに自信満々に言う。「この場合 at じゃなくて、in だと思いますが」とは返さなかったが、声はボソボソと小さく、聞き取りづらくて必死になって聞いているのに、そんな間違った情報まで要らないよ!と、イライラが募ってしまった。

駅に行き、ポワチエ行きの切符を買う。駅員の手違いで47フラン(約千円)も損するところだった。危ない・・・。

それにしても、イライラな1週間だった。明日はついにポン子に会いにポワチエへ!思う存分喋りまくろう。1人の気ままな夜は今夜で最後・・・と言っても、そんなにしみじみすることでもないが。

第14話につづく

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