美しき海でダイビング


2011年7月6日(水)

こちらにはNHK WORLDというチャンネルがある。日本人向けの放送のはずだが、日本のNHKをそのまま放送しているのではなく、なぜか全部英語。ホテルの部屋でチャンネルを合わせたら、ちょうどニュースをやっていた。テロップに“KAN”と出ていたので、「愛は勝つ」のKANが何かしたのかと思ったら、カンはカンでも、カン違い、“管”の方だった。そりゃそうだ、NHKニュース。

<碧の世界に潜る!>
明日帰国なので、プーケット滞在は実質今日で最後。いよいよダイビングのライセンス講習最終日だ。海洋実習でダイビングを2本。朝8時、パトンから車で30分程のところにあるチャロン湾へ出発。道中、プーケットの人々の日常を眺める。実は僕、サイパンでもシンガポールでも、そしてここプーケットでも、絶えず思い出すのが高校時代に滞在していたアメリカのジョージア州。南国独特のムワっとした空気や草木の匂い、そして風景がどことなく似ている。勿論全く同じではないけれど、ゆえに懐かしい気分になるのかも知れない。

チャロン湾に到着。ダイビングボートに乗り、1時間半かけてラチャヤイ島へ行く。この船に乗っている人たちは全員ダイバー。一斉に潜るのだ。朝食、昼食、おやつ付き。


いざ、出発!


<ラチャヤイ島でダイビング>
ここまで来ると、もう海の碧さが違う!まるでプールのように透き通っている。今日1本目はクリアしなければいけないスキルを2つ実践。これをうまく終えられれば、2本目は完全なる遊びのダイビングとなる!!昨日とは違い、より深く、より長い。最深14メートル、40分間のダイビングだった。


昼食(この旅、最初で最後のタイ料理だった)を挟んでいよいよラスト、本日2本目はスキルチェックのないファン・ダイビング!昨日と合わせて合計4本目のダイビングでは、50分近く潜っていた。最深17メートル。水の中は正に透明な碧の世界。ただ残念だったのが、珊瑚礁が死んでいて黒くなっていたこと。去年の5月、水温が上がったことが原因だったとか・・・。

僕が唯一楽しめるスポーツはスキューバ・ダイビングだけ。これは本当に病み付きになる!南国の海は全てを忘れさせてくれるほどの心地良さがあるのだ!


大満足のダイビングを終え、パトンにあるダイビング・ショップに戻り、オープン・ウォーター・ダイバーの認定書を頂く!これでようやく、体験ダイビングから抜け出せる!!嬉しい!!!


<素晴らしき想い出>
昨日出会ったタクシー・ドライバー、ヨーさんの話の続きをここで。昨日車を降りてから、僕は後悔にも似た気持ちが沸き起こって来た。あんなに良くしてもらったのに、本当に700バーツでいいの?帰国する朝の、空港までのタクシーを彼に頼めば良かった。でもその前日に、ホテルでタクシーを予約したばかりだったのだ(金額は彼のタクシーで行く場合も、ホテルで頼んだタクシーも同じ700バーツ)。ホテルのタクシーはキャンセルしよう。良くしてくれた人に対して、恩返しをしたい気分になっていた。

食事をした後ホテルに戻り、ヨーさんの名刺に書いてある携帯番号に電話をし、空港までの予約をした。そしてすぐ、フロントに行って、前日予約したタクシーをキャンセルしたい旨を告げ、予約済みのドライバーに確認してもらったところ「キャンセル不可」という回答をされてしまった。ガッカリ・・・。仕方なしに、再度ヨーさんに電話をして、「大変申し訳ないけど、さっき予約したばかりの、あさっての空港までの件はキャンセルしたい。先に予約していたタクシーをキャンセルして、あなたのタクシーで行こうと思ったんだけど、先の予約はキャンセル出来なかった」と告げた。いいよいいよ、と言ってはくれたが非常に申し訳なかった。
「またぜひ明日会いたい」
そう言われ、「でも明日はダイビングから戻って来るのが夕方。その後は何処にも行くつもりないけど」と返答したのだが、夕方来て欲しいと言われた。チームがどうのこうの・・・ヨーさんが組んでいる何かのチームがどうのこうの・・・この説明がさっぱり理解出来ず、「何のチームで、明日は何があるの?」と何度同じ説明を求めても、やはり分からない。電話の向こうでは、赤ちゃんの泣き声が響き渡り、更に聞き取りづらい。最終的には、
「ダイビングが終わって5時頃、さっき会った場所に来てよ。日本に帰る前、別れの挨拶がしたいから」
と、言われた。どうせダイビングの後は何の予定もないし、挨拶だけだとしても、チームの何かに連れて行かれるにしても、まぁどちらでもいいやと思い、とりあえず会いに行くことにした。


そして今日、ダイビング・ショップからホテルまで徒歩で帰る途中、ヨーさんに会った。早速僕のCDを聴いてくれたらしい。3曲しか入ってないの?と言われた。今日のダイビングの話を少しした後、
「じゃあ、明日、日本に気を付けて帰って!また会おう」
本当に別れの挨拶だけだったんだ・・・。チームの何かがあるわけでもなく、はたまた、“またタクシー使ってよ”という催促でもなく。昨日の電話で一瞬たりとも、そんなことを考えていた自分が恥ずかしい。でもって、昨日出会った時の金額交渉時、僕は相場の400バーツを300バーツまで値切ろうとしていたことにも!!結局、明日の空港行きタクシーにしても、頼んだりキャンセルしたりで、申し訳なさだけが残る。同時に、昨日のちょっとした観光は本当に楽しかったなぁ・・・と回想する。仕事のこと、去年買ったこの車のこと、奥さんや家族の話を嬉しそうに話していたことが、何だか懐かしく思えてくる。

プーケットに来て最初しばらくは、この喧騒の町・パトンばかりにいたこともあり、プーケットのイメージが「喧騒」で固定されそうになっていたが、ヨーさんのお陰で、喧騒だけでなく、プーケットの穏やかさ、そして僕が本来旅に望む地元の生活臭に少しだが触れて、プーケットに対しても、タイに対しても、とても清々しく胸が熱くなるような思い出として、胸に刻むことが出来た。人と人との間に国境はない。こうして現地の人との、心温まる交流こそが旅の醍醐味であり、この土地に来た証だ。本当に良い旅だった。

・・・旅は明日帰宅するまで終わらないけれど!

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INDEX
1日目 初・タイ入国!
2日目 喧騒の街で
3日目 穏やかな時の流れ
4日目 碧い海でダイビング
5日目 素晴らしき想い出