2006年7月16日(日)〜17日(月)

朝起きると、リビングから音楽が聴こえてきた。おや?おやま?「高橋功」の歌ではないか!「CD持って来て!」というリクエストに応え、何枚か持って来たのだが、早速聴いてくれていた。僕のどんより切なく暗い歌が、朝の清々しい太陽が当たる部屋にはまるで似合わない感じがしたけれど・・・。
「ロンドンだからいいんじゃない?」
とミチヨはあっさり言っていた。

ミチヨ宅の階段には光が差し込む

僕がロンドンに来る前日まで、ミチヨ夫婦もフランスでバカンスを過ごしていたこともあり、朝食はフランスで買ってきたパンとチーズだった!美味しい〜!!!この家には猫が2匹いるのだが、僕は猫嫌い。恐いというわけではないのだが、犬派の僕にとって、猫はどうも苦手なのだ。近付いてこられると避けてしまう。だが今朝、人懐っこさゆえに何かと僕に興味を示す1匹と、僕の恐怖心を理解してなかなか近付いてこないものの、でも何となく僕を意識しているもう1匹の性格が、妙に意地らしくも可愛く思え、同時に「何か素っ気無くして悪かったな」という思いから、写真を撮ってさらには少し撫でたみた。次に来た時は可愛がってみよう。


空港までは昨日と同様アダムの車で送ってもらった。出発の1時間半前には着いた。チェックイン・カウンターに行き、航空券とパスポートを出してしばらくすると、「ちょっと待って」と言って香港人の職員は席を立った。10分経っても20分経っても戻って来ない。隣の職員が「もうすぐ戻ってくるから待ってね」と言うのだが、僕よりも後から来た人たちは既に手続きを終えているので、段々腹が立ってきて、「他のカウンターに移ってもいいですか?」と訊いたのだが、「ここに居て下さい」と言われてしまった。ふと、目に入ったカウンターに置いてある白い紙。よく見ると、僕が乗るフライトについて書かれているようだった。さっきは気にも留めなかったのだが、読んでみたら冷や汗が出た。なんとオーバーブッキング(定員以上の予約)の為、次のフライト(6時間後)に変更すれば、250ポンド(約5万円)を支払います、というものだった。ゲゲゲッ・・・。なんたる・・・いや、それは避けたいと思った。エコノミーが満席なら、ビジネスクラスに変えて欲しい。さっきとは違う職員が僕の元にやってきて、「オーバーブッキングなので、250ポンドを・・・」と説明を始めた。僕は即座に「困ります。受け入れられません」と断った。
「でもしかし、予約が一杯なものですから・・・」
「そんなこと言われても!僕より後に来た人たちが乗れてるのに!」
「分かりました、もうちょっと待って下さい」
イライラしていた。普通、オーバーブッキングならビジネスクラスに変えてくれるのではないか?なぜ次のフライトまで待たなくてはならないのだろう?見渡すと、客は僕一人になってしまった。なんたることだ・・・。
「高橋様、これがチケットです」
確かに予約していた時間のチケットではあったが、ビジネスクラスではなかった。エコノミーのままだった。・・・なーんだ、結局席はあるんじゃないか!

香港人の職員たちによって散々待たされた挙句、謝罪の言葉もなく、僕はイライラしながら急いで搭乗ゲートに向かった。コーヒー一杯飲む時間さえなかったのだ。だがしかし。なぜ僕は次のフライトまで待てなかったのだろう?と、冷静になるにつれ自分自身に対する疑問が沸いてきた。別に6時間後になったところで、日本に着く時間も夜遅くなるだけの話だ。それを受け入れれば5万円貰えたのに・・・。バカな選択をしたかも知れない・・・。あの時、自分よりも後に並んでいる人たちが順調に手続きをしているのに、自分だけが・・・と腹を立てて。くぅ〜!でも考えても仕方が無い。6時間ひとりで時間を潰すのも結構な苦痛だ。それから飛行機に12時間も乗り、香港から成田まで4時間、成田から東京まで2時間・・・とにかく何もしない時間が目の前にわんさと待っているのだ。確かに5万円は大金だが、仕方ない!と、もう考えないことにした。

機内で僕の斜め後ろに座っていた中国人は、とにかくゴミというゴミを全部床に捨てていた。スチュワーデスが気付いて拾っても、ゴミは絶え間なく落ちている。更に、僕が大嫌いな、物凄い臭いのする飴を12時間のフライトで2度も舐めていた。まぁ、飴を舐めるのは自由だが・・・。臭いが・・・。香港に着いて、飛行機から降りる際、斜め後ろの中国人どころの騒ぎではなかった。至るところの席はゴミで散らかし放題になっていた。

ロンドンでの離陸が1時間遅れた為、香港でもゆっくりする暇はなく、急いで東京行きの飛行機に乗るはめに。成田に着くと、乗ろうと思っていた吉祥寺行きのバスはタッチの差で出てしまい、1時間待つはめに。2時間バスに揺られ、やっと自宅へ。

最後はちょいと慌しい感じはしたが、こんなにも充実すぎる旅はこれまでにあっただろうか?と思うくらい、贅沢な時間を過ごした。また明日から精一杯頑張ろう!旅に出る意義とは、こういう本来こういうところにあるものだ。

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出発 いるはずの僕がいない?!
パリ 1日目 無理をすれば大丈夫!
パリ 2日目 心の底から楽しく
パリ 3日目 ずっとパリにいるような…
パリ 4日目 ブリュッセルへ
パリ 5日目 バルビゾンで昼食を
パリ 6日目 パリ祭
ロンドン 最高の締め括り
帰国 オーバーブッキング
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