SET LIST
1. 水の果て
  -MC-
2. Blue Touch
3. 白昼夢
  -MC-
4. メドレー
   見送りの朝
 〜長い飛行船
  -MC-
5. 夕照に誘われて
6. 幸せの陽射し


半年振りのライヴは、おなじみ吉祥寺STAR PINE'S CAFEにて、初のピアノ弾き語りライヴ。これまで、いろんな人に「弾き語りをやってほしい」と言われ続けていたにも関わらず、ずっとバンドスタイル(もしくはデュオ)でサポート・メンバーたちとライヴをやってきたのだが、ここにきて心機一転、新しいことにチャレンジしようと思って臨んだライヴ。

5歳からクラシック・ピアノを習っていたわけだが、自分で弾いて歌うとなると、これはまた別物。イライラするくらい思い通りにいかず、最初はどうなることかと思った。自分の過去のライヴ音源を何度も聴いたり、弾き語りで歌っているアーティストのCDを聴いたり、改めて「歌のバックに流れるピアノ」に注目してみた。そして、難しく考える必要はないことに気付いた。小中学校時代、合唱の伴奏をしていた経験も役に立った。人生、何事も無駄はない!

初の弾き語りライヴ、ということで、初ライヴの時と同じ気持ちで臨んだ。今回の選曲は、ライヴで人気の高い曲、CD「記憶の森へ」収録曲、そして新曲2曲から考えた。毎度のことながら、どうしても歌い曲ではあるけれど、曲の並びで外さねばならない曲も出てくるのが心苦しい。(久々に「どこかで…」を歌いたいと思い続け、いつも外れてしまう・・・) 明るめの「海へ…」や「閉じた閉じた瞳を開けないで」しかり。そして今回は、僕の曲の中では極めて異色の「Fantasma」を初めて外した。

1曲目「水の果て」は新曲。静かに、そして幻想的に始まり、後半は激しい感じに。覚悟を決めて逃避行するという歌。ちなみに僕のイメージでは舞台はイタリアである。歌い終わってすぐにMC。こうやってピアノに向き合って歌うのも初めてであれば、こういうMCも初めてである。続いては“実体験ですか?”とよく訊かれる「Blue Touch」。CDにも収録されているが、果たしてどこをどう読んだら“実体験”に思えるのか、僕としてはいささか疑問である。この曲は、定番としてずっと歌っているだけに、どうしても自分のピアノが気に入らず、本番直前まで「本当にこの弾き方でいいんだろうか?」という迷いがあった。しかし、アンケートではビックリしたことに、この曲が一番評判が良かった。次の「白昼夢」、これはいつも人気の高い曲。CDのアレンジとは少し変えて、激しい感じにしてみた。

2度目のMCでは、去り行く友について話した。留学、進学、卒業などで、いつも自分が“見送られる”立場だったのが、いつの間にか自分が見送る立場になっている昨今。この夏、また友人が東京からいなくなる。遠くフランスへと旅立って行くのだ。その友人に向けて今回は「長い飛行船」を歌おうと思っていたのだが、ライヴ本番2週間程前に、ふと思いつき、「見送りの朝」という短い歌を書いた。この歌には2番がない。折り返した後、そこにいつもいるはずの友人はいないからである。その短い歌を、「長い飛行船」の前に歌い、メドレーにしてみた。去年、結婚する友人に向けて「幸せの陽射し」を歌った際、思わず泣きそうになったが、今回もまた「ウッ」ときそうになった。だが必死に堪えて歌い終えた。

3度目のMCの後は、最後の2曲に突入するわけだが、今回、いつもよりもあまりにも早く時間が経つのが早く感じられ、一瞬「あれ、何か曲を飛ばしたかな??」と思った程だ。それくらいあっという間にクライマックスに突入した。変わらぬ熱い気持ちで「夕照に誘われて」、そして「幸せの陽射し」。歌いなれた歌だが、いつも新鮮な気持ちで歌っている。

初の弾き語りということもあり、動揺しっぱなしだった。これまでの練習で、何度も「ツライ!」と思ったのだが、ピンク・レディーが2年間のコンサートツアーを死に物狂いでこなしつつ、「なんでこんなに苦しい思いをしなければならないんだろう」と口にしたケイさんに、ミーさんは「私たちが苦しめば苦しむほど、お客さんたちが楽しめるんじゃない?」と言った、とテレビで語っていたのを思い出し、妙に納得した。たやすい練習で人に感動を与えることなど出来ないのだ。

これまで、何度も「弾き語りをやってほしい」と言われていたにも関わらず、ずっと避けてきた。やると決めた以上、きちんとこなしたいと思ったし、それ故に蒼くなることもしばしば、本番中も「こりゃ大変な作業だ」と思ったが、思った以上に手応えがあった。本当は今でも避けたいと思ってしまうのだが、勉強になることがやはり多かった。これからも弾き語りをやっていくつもりである。もっともっと、自分の音楽と、真剣に向き合っていきたいと思っている。

ライヴ前の出来事


大学時代の同級生と。真ん中の彼女は、わざわざ京都から駆けつけてくれました!