1. 白昼夢
2. 夏の微熱
-MC-
3. Fantasma
4. 夜の破片
5. こぼれた水
6. Blue Touch
7. 海へ…
-MC-
8. みつめて
9. 幸せの陽射し

ボーカル:高橋功/ピアノ:荒武裕一朗/ベース:池田暢夫

1年振りのドラムレス・ライヴ。そして、1年振りの南青山MANDALA。とってもいい会場だし、大好きな場所だし、ここで出来る喜びを噛み締めつつも、僕は絶対に緊張するまい!と誓っていた。1年前に公演をさせて頂いた時は、バンドスタイルになったばかりだったし、いろんな面で納得がいかなかった分、今回はリベンジの気持ちもあったが、何はともあれ、心から「楽しんで」歌おうと思った。

いつもまず気になるのは、声(喉)の調子。いくら前日や当日に気を付けていても、人間の体の不思議、調子が悪い時はどう頑張っても調子悪い。それをカバーするのがプロの仕事であるのだが。家で発声練習をしてから出掛けるが、会場で実際歌ってみるまでは分からない。今回は、リハの段階でとっても調子が良くて、声もよく伸びたので、リハで頑張ってしまった。歌いながらも、「ああ、こんなにリハで頑張ってはいけない」と思いつつ・・・。

僕は「緊張するまい!」と強く思っていると、不思議なことにさほど緊張しない。「楽しめ!緊張するな!」と暗示をかける。ところが、いざステージに出てみると、超満員。しかも、お客さんが近い。ビックリして、緊張してしまった!!! 更には、僕にいつも厳しくも、的確なアドバイスを下さるスタッフの方が端っこにいるのが分かった。でも、絶対に声が震えたり外したりすることだけは避けたかったので、歌いながら気持ちをコントロールさせながら1曲目「白昼夢」を歌った。北欧の白夜の夏をテーマにしたこの曲は、秋へと移り行く心を歌った歌で、どことなく「森」の匂いを感じさせる。近頃とても人気があるので、ライヴでは定番になってきている。2曲目「夏の微熱」は、躍動感のあるラテン・ポップス。あっさりした歌詞で、とても歌いやすいメロディー。この曲を歌い始める頃には気持ちも落ち着き、段々ステージを楽しめるようになった。

MCを挟み、3曲目からはタカハシコウお得意、“夜の歌“特集。スペインの夜をテーマにした「Fantasma」は毎度お馴染み。そして、どっぷり真夜中の世界、“怨み節”「夜の破片」は1年振りに歌った。ピアノとのデュオで、荒武さんの演奏がまた更に“夜の深み”を増してくれた。続く「こぼれた水」は“夜逃げ”がテーマでこれも1年振り。この曲は僕がライヴを始めた頃に歌っていた歌で、そこそこ評判が良かったのだが、ここ1年はずっと外していた。すると、必ず聴こえてくるリクエスト。歌詞は難解だし、自分でも不思議なのだが、なぜかこの曲を好きだと言ってくれる人が結構多い。リクエストの声に押されて、1年振りの歌唱となった。

夜の歌3曲続けてどっぷりと暗闇の世界に浸って頂いた後は、おなじみ「Blue Touch」。この歌の歌詞は分かりやすいし、情景も浮かびやすいのか、毎回評判が良い。この曲自体はとても難しいが、自信を持って毎回お届けしている。これからもずっと歌い続けていきたい曲だ。次の「海へ…」でやっと、緊張感から解き放たれる。この曲はさわやかなポップスで、まさに夏の歌。以前はライヴでは欠かせない曲だったが、今回は半年振りだった。

レコーディングが控えていることを報告し、ラスト2曲へ。「みつめて」は秋心。都会の夕暮れ、都会の別れ、どうしようもない現実を歌っている。出だしが低音域、サビが高音域の歌なので、この歌を歌う時は毎回毎回恐怖である。歌詞の内容も苦しいながら、歌うのもとっても苦しい。♪何もかも疲れたでしょう〜 とサビで歌うが、思わず力が入ってしまう。自然と、“どうしようもなく切ない気持ち”になる曲だ。

ラスト「幸せの陽射し」、この曲は今年に入ってから毎回歌っているが、相変わらず人気が高い。僕の持ち歌では唯一と言っていいほど、100%幸せな歌である。僕の歌は苦しかったり切なかったり、悲しかったり絶望的だったり、「お先真っ暗ソング」が多いので、それが実生活に反映されても困る・・・と思い作った幸せの歌。結婚する友人に向けて歌ってからは、もうすっかり友人夫婦の歌になってしまったが、何気ない言葉で綴った歌詞なのに、作った当初よりも、とても大きな強さを感じる。それはきっと、その友人に向けて歌ってからだ。自分自身の為にだけ歌っていたら、ここまで強くはならなかったと思う。歌が何らかのきっかけでいい方向に(本当に僕が望む方向に)変わっていってくれた、不思議で大切な歌だ。これからも、大切に歌っていきたい。

今回は、ライヴを始めて以来、初めて「夕照に誘われて」を外した。これもひとつの挑戦であった。

声のハリや、出し方、響かせ方、といった発声法に関しては、少しずつ学んだことを実践できるようになってきたと思う。まだまだ、喉に負担を掛けないようにする練習をもっとしなくてはならないが、自分の中では今、身をもって上向きになっているように感じている。

今回のライヴは、自分自身、とても楽しめたと思う。そして、落ち着いて感情を出せたと思う。来て下さったお客さん、スタッフの方からのアドバイス、そしてメンバー。沢山の方々に感謝し、続けていくこと、また、小さな器の中に留まるのではなく、常に前へ前へと前進する努力をすることの大切さを強く感じた。ひとつひとつクリアーしていっても、終わりはない。いつまでも・・・。とことん追求し、もっともっと上に、大きな山を越えて、更にまた山を登り・・・沢山の方たちの力を借りながらも成長していきたいと思う。